天地の音

川の音

春になると雪解け水がさらさらと流れはじめます。その小さな水の動き出す音を「ささらぐ」「せせらき」と言いました。
川の音、瀬の音、川の音のことを「川音のしぐれ」と表現するときがあります。「川音なす」は川音のように絶え間なく聞こえることを言います。
また、渓流を流れる音のことを「渓声(たにおと)」と言います。
激しい急流の水しぶきの逆巻く音のことを「激ちの響み(たぎちのとよみ)」と呼びます。

海の音

潮の音は永遠に続く楽音といわれています。
海が楽器を奏でているというふうに、「波の調べ」や「波の鼓」、「波の緒」と呼ぶときがあります。
海の存在はその広大な姿を見るときも感じますが、夜に「潮騒(しおさい)」が鳴るときもそこにあることに気付きます。
夕潮騒は夕方の黄昏時に流れる潮の音。
海が鳴ることを海鳴りと言いますが、東北のある地方では、北極星のことを「海鳴り星」と呼ぶ地方があるそうです。

雨の音

雨は季節折々で色々な単語がありますが、「雨の音(あめのね)」というのは、聞こえているようで聞こえていません。いつの間にか降り止んだ雨にふと「あ…止んだ」と感じることがありませんか?
「残月清風 雨声となる」
という言葉があります。雨の音を声にたとえて「雨の声」ということもありますね。

時雨は晩秋に降る冷たい雨ですが、その時雨に特定の擬音語があるということを知っている方は少ないのではないでしょうか。
「さんさ」というのは時雨の上につく擬音です。あるのかないのかわからない雨音が風景に馴染んでいるのが想像できそうですね。

切ない雨の表現もあります。
「雨霖鈴曲(うりんれいきょく)」といえば、切ない雨の物語です。
唐の玄宗皇帝と楊貴妃は蜀に逃げる最中に部下に恨まれ、楊貴妃が殺されます。悲しみに暮れながらもな蜀へと逃げる皇帝が、亡き妻を想い歌った詞が「雨霖鈴曲」だそうです。その寂しさから、「雨淋鈴」と言う場合もあります。