時間や季節

表現力を豊かに

日本語の豊かさは、その表現力にあります。
平安時代から今にかけて、ギャル文字や現代用語以外にもたくさんの言葉が生まれてきました。
日本古来より存在する言葉にはとても美しいものがたくさんあります。今回はそれらのほんの一部を紹介したいと思います。

時間をあらわす言葉

「光陰矢の如し」という言葉はみなさんご存知かと思います。では、光陰とはいったい何を指しているか知っている人はいらっしゃいますか?
光陰とは、「月日」のことを指しています。「光」は日、「陰」は月の意味をあらわしているということですね。
一寸の光陰、あっというまに過ぎてしまったわずかな時間のことを「寸陰(すんいん)」と呼びます。
あっという間に過ぎてしまう言葉を現すものはたくさんあります。
葉の上に落ちた雫がすぐに消えてしまうことにたとえて、「露の間」と呼んだり、仏教の言葉で一瞬のことを「刹那(せつな)」と呼んだりもします。

長くゆったりした時間のことを「悠久」と呼んだり、星が一年かけて地球をめぐり、霜が毎年冬におりることにかけて「星霜(せいそう)」と呼ぶこともあります。

また、「秋」には時や年の意味も含まれています。
「一日千秋の思い」という言葉を聞いたことはありませんか?「一日三秋の思い」という言葉も知っている人は大したものです。
これらは一日会わないだけでもそれが千年の月日のように感じる…そういう言葉ですね。

他にもよい時に栄えることを「時の花をかざす」「時の綺羅」などといいます。
また、逆に永遠の別れのことを「永訣(えいけつ)」と言う場合があります。

夜明けの言葉

「春眠暁を覚えず」というように、夜が明けてもまだ眠い…そういう状態のことを「朝惑い(あさまどい)」と言います。
春の暁はとてもきれいです。ところで昔、暁(あかつき)と曙(あけぼの)は違う意味で使われていたことを知っている人はいますか?
暁は宵→夜中、に続く三番目の夜のことを指していました。それに続いて「東雲(しののめ)」、「曙」ときて、「朝ぼらけ」という夜明けを迎えるのです。
夜明けを現す言葉は他にもたくさんあります。

黄昏の反対の言葉は「かわたれ時」と言います。早朝空が白々としているときは「仄々明け(ほのぼのあけ)」、妻のもとに通う平安時代ならば夜明けを「暁の別れ」と呼びました。
「押し開け方」「引き明け」というのも夜明けの意味です。